96.前傾姿勢による髪型の悩み◯L(1)

子供の頃から、坊主頭が嫌だった。
他人が坊主頭なのは気にならないが、自分が坊主頭にされるのは、本気で嫌だった。
漫画やアニメのキャラは、それぞれ個性的な髪形で、格好いいキャラほど長目。
俺としては、ガンダムで言うなら、シャアほどの長さは要求しないが、せめてアムロぐらいの髪型にしたかった。
坊主頭でも、適当にしとけば、自然にアムロぐらいの長さにはなるものだ。
ところが、祖母の家に行くと、「なんやその頭は。汚い」と言われ、近所の散髪屋に連れて行かれ、坊主頭に戻る。
祖母は昔の人間なので、戦争中の子供のあるべき姿を俺に押し付けていたのかと思う。
時代錯誤も甚だしい。

少しぐらい色気付きたい願望があったが、中学に入っても、色気付くことができなかった。
校則で坊主頭。
男は全員、強制的に坊主頭。
祖母以上の驚異を感じた。
夏休みに、少々格好つけることができても、スポーツ刈りが限界という、えらく不自由な世界だった。
俺としては、キャプテン翼で例えるなら、日向ほど髪を伸ばせなくても、せめて若林ぐらいの髪型にはしたい。
ただ、現実は、石崎だった(強制)。

野球漫画以外の漫画に登場する、たいていのキャラには髪の毛がある。
漫画を読む普通の子供にとって、そんなことは当たり前のことだろうが、俺にとっては、非日常。
読みながら、「この漫画は、校則が無い世界の話なんだなぁ」としみじみと思った。

やっと色気付けるようになったのは、中学を卒業してからになる。
念願が叶い、髪を伸ばし始め、前髪をジェルで立てる。
コンビニで、初めてジェルを手に取り、レジに持って行った時、魂が震えたものだ。
シャンプーをして、頭に泡がたつのも嬉しかった。

坊主頭で過ごしたそれまでの反動なのか、髪を染めたりパーマをかけたりと、10代後半の俺は、勘違いっぷりを大いに発揮する。
大学を卒業し、社会人になると、勘違いっぷりは鳴りを潜め、長髪でも坊主頭でもなく、中途半端な長さに落ち着いた。
ちなみに、勘違い全快時代の自分を思い出すと、吐き気がする。

トップはややボリュームがある。
サイドは耳に被るか被らないかの長さ。
襟足は、若干長い。
前髪は、右に流す。
これが、ここ数年の俺の髪型。
15年ほど前に、美容師の人から「ウルフカットにしましょう」と提案され、それからマイナーチェンジを繰り返し、今に至る。
普段、特に不便さを感じないが、ロードバイクに乗った後、鏡を見て、「なんじゃこれ!?」となった。
キーワードは、「◯L」。

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